2014年 08月 24日
キュー王立植物園⑦ パーム・ハウスの重要な意味とは?
アマゾン流域原産のゴムノキの紹介です。幹から採れる白い樹液は、靴、グローブ、おもちゃなど工業製品の原料となりました。そこに目を付けたイギリスは、この温室で苗木を育て、原産地と似た気候の東南アジアに移植し、プランテーションで大量生産して莫大な富を生み出したのです。今では、天然ゴムの90%が東南アジアです。インドの紅茶も同様に、中国で採取したものを増産したのだそう。世界の植物採集は単なるコレクションではなく、国の経済を左右する重要な意味があったのです。とは言え、木がたくさんありすぎて、どれなの~
(↑)可愛いピンクの花を咲かすこの植物は、マダガスカル原産のツルニチニチソウ。実は、ガンにも効くという成分が含まれているのです。もともとマダガアスカルでは糖尿病や消化薬として使われていました。欧州に持ち込まれて研究され、白血病などに効く成分が樹液に含まれていたのです。医療の研究にも役立っています。
一見、何の特徴もない低木ですが、「Toothbrush tree(歯ブラシの木)」と言います。説明によると、「9000年以上に渡って、インドや中東、東アフリカで、数百万人の笑顔を輝かせた」と書いてあります。
この植物のエキスを抽出した歯磨き粉は、治療ではなく、虫歯予防に効果があるとして展示されていました。
この植物園の重要性をひしひしと感じました。
<美智代のワンポイント> プラント・ハンターとは?
この植物園の立役者です。誰も知らない土地から珍しい植物を集めてくる人たちのこと。きっかけは、18世紀後半の植物学者ジョゼフ・バンクスで、ジェームズ・クックと一緒にオーストラリアに上陸し、多くの植物を収集して紹介した人物。国王を後ろ盾にプラント・ハンターを各地に派遣して園の発展に貢献しました。産業や医療に貢献した植物園は、現在、「種の保存」に取り組んでいます。