2010年 12月 12日
シギリヤ⑤ シギリヤ・レディ、岩山を舞う天女
宝飾品を身につけ、上半身裸の女性たちが雲に乗って漂っています。これらは、「シギリヤ・レディ」。
1875年イギリス人が望遠鏡で眺めている時、この壁画を見つけ、有名になりました。5世紀の作品ですが、望遠鏡で分かるほど色鮮やかだったのです。
微笑を浮かべた優しい顔やふくよかな体つき。花やお供え物をもった天女が多く、パーティが始まりそうなくらい賑やかです。岩の壁画といえば、インドのアジャンターを思い出しますが、無駄がない体つき、切れ長の目で厳かに見つめる蓮華手菩薩とは、対照的でした。
かつては、500体ほど描かれていたそうですが、風雨にさらされ、現在残っているのは22体。厳つい岩場の外観とは対照的に、ここは華やかな楽園です。
カッサパ王は、自分が殺してしまった父の霊を慰めるために描かせたと言われていますが、その後悔や弟の復讐という恐怖から逃避するため、あるいは、プレッシャーをはねのけ、自ら頂に住んで神となるため、別世界のようなこの都城を築いたのだと思いました。
(→)ポートレートにしたいような見事な壁画。(←)肌が褐色のこの天女は黒人で、王の愛人の一人だったそう。ただ、中はものすごく蒸し暑く、汗だくで見学しました。壁画は大丈夫?
◆古代都市シギリヤ(1982年登録)◆